推定90年代頃、Barbour(バブアー)製『トレンチコート』になります。
Barbour(バブアー)とは、1894年に "John Barbour(ジョン・バブアー)" によって、イギリス北東部サウスシールズにて創業した英国発のアウトドアライフスタイルブランド。
現在こそタウンユース向けに多数のアイテムがリリースされていますが、元々は水夫・漁師などの港湾労働者の為に、耐久性の高いオイルドクロスを提供したのが始まりとされているワークウェア。
1908年には、息子である "Malcolm Barbour(マルコム・バブアー)" が初の通信販売カタログを制作し、1917年には国内外の注文を含めてそれらのカタログでの売上が75%を占めたそう。
マルコムの息子である "Duncan Barbour(ダンカン・バブアー)" は、モーターサイクルウェアに造詣が深かった為、1936年にはモーターサイクル用のスーツを発表。
それらのスーツは瞬く間に評判となり、1936年〜1977年にかけて英国のインターナショナルチームがこぞって着用しました。
1939年にはダンカン・バブアーが戦争に招集され、マルコム・バブアーとその妻が経営を引き継ぎ、英国潜水艦部隊の標準装備となる "
Ursula Suit(ウルスラ・スーツ)" を開発。
U型潜水艦艦長のジョージ・フィリップス大尉が、このスーツの製造に当時尽力したそう。
その後の1974年には、エディンバラ公爵殿下から最初の王室御用達の証である "Royal Warrant(ロイヤル・ワラント)" を授与。
1982年には、エリザベス女王陛下より2つ目のロイヤル・ワラントが授与され、1987年にも、プリンス・オブ・ウェールズ殿下より3つ目のロイヤル・ワラントが授与されました。
取得するのが困難とされている、ロイヤル・ワラントを取得している事からも品質の高さは、今更言うまでもないでしょう。
ロイヤルワラントを認定出来たのは、『エリザベス女王』・『エディンバラ公』・『チャールズ皇太子』の3人のみ。(現在はチャールズ皇太子のみ)
ロイヤルワラントを認定されたブランドのみが、ロイヤルアームス(紋章)を掲げることが出来ますが、5年ごとに精査・更新される為、1度認定されても5年後に脱落する可能性もある厳しい世界。
そんなロイヤルワラントを3つも永続的に取得し続けてるバブアー。恐るべし。
今回ご紹介する物は、1987年〜2000年の期間のみ生産されていた、3クレスト期の個体となる "TRENCH COAT" となります。
知る人ぞ知るヴィンテージバブアーの銘品で、1980年代後半〜1990年代後半までの期間生産されていたのが当モデル。
"BEDALE(ビデイル)" が乗馬用・"BEAUFORT(ビューフォート)" が狩猟用等、各モデルによって着用用途が分かれる事が多いバブアーですが、当モデルに関しては着用用途の記載はされていません。
恐らくカジュアルな街着としてリリースされたていたモデルかと思います。
有名モデルで言うと "BURGHLEY(バーレイ)" と同じ部類の、所謂 "超ロング丈" 仕様というのも嬉しいポイント。
タウンユースの1着として力を発揮してくれそうですね。
使用されているワックスドコットンの厚さは "4オンス" のライトウェイト。
ビデイル等の定番モデルにも採用されている6オンスと比較しても薄いので、サラッと肩肘張らずに着用するには適した生地の厚さかと思います。
バブアー特有のコーデュロイ仕立ての襟・片肩のみのガンフラップ・ボタンが2列に並ぶダブルブレスト仕様・袖とウエストに付属するバックルベルト・フル幅のバックヨーク等、トレンチコートの原型は留めつつも、バブアーらしさが垣間見えるディテールの数々。
個人的には、襟を立てチンストラップ留めをして、ウエストベルトで絞って着用するのが1番格好良いかと思います。
バブアー各モデルでは、ラグランスリーブ仕様(一枚袖)が採用されている事が多いですが、当モデルに関しては "BORDER(ボーダー)" 同様にセットインスリーブ仕様。
数少ないセットインスリーブを採用したモデルとなりますので、よりクラシカルに着用したい方にはお勧めです。
古さを感じさせない、英国が誇る上品なシルエットも人気の理由の1つと言えるでしょう。
裾に向かって広がっていく強烈なAラインは、着用した時のシルエットが非常に綺麗且つ優雅。
現行でも復刻されているトレンチコートですが、やはりヴィンテージバブアーには到底及びません。
ヴィンテージ特有の雰囲気を楽しみたい方はヴィンテージバブアー一択かと。
サイズ表記は確認出来ませんが、日本サイズで "M ~ L" 程度に該当するかと思います。
実寸値を見ても日本人体型に合うゴールデンサイズかと思いますので、幅広い体型の方にご着用頂けるかと思います。
ジャストサイズ・オーバーサイズのどちらで着用しても様になるかと。
皺・生地特有のアタリ・オイルムラ等の使用感はありますが、着用に問題のある大きなダメージは見受けられませんので、まだまだご着用可能かと思います。
ヴィンテージバブアーの希少種にあたる "TRENCH COAT"
英国発祥のトレンチコートにワックスを施す事により、エレガントさと漢臭さが丁度良い塩梅に中和された、他ブランドでは体感出来ない唯一無二のアイテムと言えるでしょう。
現行とは比べ物にならない程のオーラを放つ、ヴィンテージバブアー。
それもヴィンテージバブアーを選んで頂く大きな要因の一つではないでしょうか。
当ショップでも入荷の少ない希少なモデルとなりますので、お探しの方がいましたらこの機会をお見逃しなく。